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FIP

FIP(猫伝染性腹膜炎)の慢性化と再発|A/G比・NLRと免疫の変化

本記事では、FIPの慢性化と再発を、A/G比、NLR、免疫細胞の変化という視点から整理します。検査値だけでは捉えにくい病態と、治療後の経過を評価する際の考え方を解説します。

FIP(猫伝染性腹膜炎)の慢性化と再発|A/G比・NLRと免疫の変化

はじめに

今日お話しする内容は、猫伝染性腹膜炎(FIP)という病気に対する、これまでの理解や見方を覆すかもしれません。今日は、主に次の話題を取り上げます。

1)アルブミン/グロブリン比(A/G比)は、FIPに特異的なマーカーではありません。その高低だけで、病状の重さを判断することはできません。※1

2)私たちは、FIPの経過を「慢性的に持続する状態」と「急激に病勢が高まる状態」の2つから捉えています。いわゆるドライタイプとウェットタイプは、急性活動期における異なる現れ方とも考えられます。私たちが注目しているのは、その背景にある病態の移り変わりでもあります。

3)好中球とリンパ球の絶対数の比、つまり NLR は、FIPと確定診断された猫の急性期の炎症を評価する際に、私たちがより重視している指標です。※2

4)慢性的に病態が持続している状態が、治癒と誤って判断される可能性があります。いわゆる再発の一部は、急性から慢性へ、そして慢性から再び急性へという経過をたどっている可能性があります。※3

5)急性期のFIPには、積極的な抗ウイルス治療が必要です。一方、ウイルスの増殖がすでに抑えられていても、持続的な炎症や免疫調節異常が残っている場合には、抗ウイルス治療を単に強化するだけでは、得られる効果が限られる可能性があります。これは、急性期のCOVID-19と罹患後症状(Long COVID)の関係にも通じるものです。その対応の考え方も参考にしながら、持続する炎症への対処と免疫機能の回復を、治療方針に組み込むべきです。※4

アルブミン/グロブリン比(A/G比)

A/G比は、アルブミンとグロブリンの比率です。アルブミンの値が同じであれば、分母に当たるグロブリンの値が高いほど、A/G比は低くなります。

グロブリンのうち、抗ウイルス応答と密接に関わるのが、免疫グロブリン、つまり抗体です。B細胞から分化した形質細胞によって産生されます。動物の獲得免疫系は、ウイルス感染に応答して、そのウイルスに対応する抗体を産生します。さまざまなウイルス感染でグロブリン値が上昇し、A/G比が1を下回ることもあります。

感染によって病状が重くなり、動物が長期間食事をとれなくなると、栄養不足や炎症反応、タンパク質の喪失によって、アルブミン値が低下することもあります。例えば、猫汎白血球減少症や猫エイズでも、アルブミンの低下やグロブリンの上昇に伴ってA/G比が低下し、0.8を下回る場合があります。※5

こうした症例をA/G比だけでFIPと判断してしまうと、誤診を招きやすく、結果として治療の失敗につながります。

FIPVがグロブリンの産生を促す過程には、このウイルスの単球やマクロファージへの細胞指向性が深く関わっています。マクロファージ自体も免疫細胞の一種で、感染すると、IL-6やBAFFなどのシグナルを介して、B細胞が抗体を大量に産生する形質細胞へと分化するのを促します。※6 哺乳類に感染するウイルスの中でも、SARS、MERS、COVID-19を引き起こすコロナウイルスによる重症感染は、このような免疫調節異常を理解するうえで重要な比較対象です。

こうした感染に対する免疫応答には、いくつかの共通点があります。ウイルスに感染すると、動物はT細胞やNK細胞を動員して、ウイルスに乗っ取られた宿主細胞を排除するとともに、B細胞によって抗体を産生します。

しかし、FIPVに対する応答では、細胞性免疫が抑制されることがある一方で、B細胞による抗体応答と顆粒球を介した炎症反応は持続します。私たちが注目しているのは、次の3つの相互に関連する過程です。ここで取り上げるヒトの脾臓やCOVID-19の研究から得られた機序の手がかりを、FIPの研究を進めるうえで参考にしています。

1)好中球は、B細胞応答の増幅に関与している可能性があります。

ヒトの脾臓を調べた研究では、B細胞ヘルパー好中球(Nᵦₕ、neutrophil B-helper cells)と呼ばれる好中球が見つかっています。これらはBAFF、APRIL、IL-21などのシグナルを介して、B細胞の抗体産生を促進します。この知見は、私たちが「顆粒球がFIPの抗体応答を促す仕組み」を研究するうえで、一つの方向性を示しています。※7

また、COVID-19患者では、CD15⁺CD16⁺好中球の増加と、好中球表面のCD11b発現の低下が観察されています。CD11bは細胞接着、遊走、炎症の収束に関わっており、その発現の変化は炎症の調節に影響する可能性があります。こうした顆粒球の表現型も、FIPでさらに追跡していく価値があります。※8

FIPの解説図

2)免疫チェックポイントの変化は、T細胞による感染の制御を弱める可能性があります。

COVID-19の研究では、好酸球と好塩基球において、プロスタグランジンD₂受容体であるCRTH2の発現低下と、プログラム細胞死リガンド1であるPD-L1の発現上昇がみられました。これらの変化とともに、CD4⁺ T細胞とCD8⁺ T細胞の割合も低下していました。

PD-L1がT細胞表面のPD-1と結合すると、T細胞の活性化やエフェクター機能を抑制し、CD4⁺ヘルパーT細胞とCD8⁺細胞傷害性T細胞の応答に影響を及ぼすことがあります。FIPの研究でも、直接的な手がかりが得られています。FIPV感染によって感染細胞のPD-L1発現が上昇し、細胞共培養実験ではT細胞の活性化が抑えられることが示されています。※9

同時に、感染したマクロファージはTNF-α、GM-CSF、G-CSFなどの好中球生存因子も産生し、好中球の生存率を高めます。その結果、これらの炎症細胞が、炎症や肉芽腫性病変に持続的に関与することになります。※10

FIPの解説図

3)T細胞とNK細胞が抑制されても、抗体産生は続きます。

FIPの研究では、T細胞の減少とアポトーシスの増加との関連が、すでに観察されています。NK細胞でも、数の減少や細胞傷害活性の低下がみられます。こうなると、ウイルスに乗っ取られた宿主細胞を排除する能力にも影響が及びます。※11

一方、B細胞は、持続するウイルス抗原の刺激や、感染したマクロファージから放出されるシグナルの作用によって、引き続き形質細胞へと分化し、抗体、つまり免疫グロブリンを大量に産生することができます。そのため、グロブリン値は大きく上昇することがあります。

同時に、炎症によって血管壁の透過性が高まると、血漿タンパク質が滲出しやすくなります。その結果、血管内からタンパク質が失われ、胸水や腹水の形成につながります。感染したマクロファージが産生する血管内皮増殖因子(VEGF)も、この過程に関わっています。アルブミンが低下すると、膠質浸透圧によって血管内に水分を保持する働きも弱まり、液体がさらに血管外へ移動しやすくなる可能性があります。※12

アルブミンの分子量は、IgGなどの主要な免疫グロブリンよりも小さく、血管透過性が高まると、血漿の滲出に伴って血管外へ流出します。さらに、炎症によってアルブミンの合成が抑えられる一方、グロブリンの産生は増加し続けます。こうした要因が重なることで、FIPの猫では、A/G比が 0.8 を大きく下回ることが少なくありません。※13

FIPの解説図

MSD獣医マニュアル(MSD Veterinary Manual)では、過去の代表的な研究を引用し、A/G比0.8を参考となるカットオフ値として示していました。ただし、広く引用されている「A/G比が0.8未満の場合、陽性予測値(PPV)は92%」という数値は、有病率が高いと仮定した条件下で算出されたものです。その後、実際の臨床集団を対象とした研究では、A/G比の陽性予測値は対象集団の有病率によって大きく変動することが示されました。そのため、A/G比はFIPの除外診断を補助する指標として活用するのがより適切であり、それだけを根拠にFIPを確定診断することはできません。

(注:ここで取り上げる急性・慢性の病態の枠組みでは、全身の炎症所見が比較的穏やかで、経過が長引く状態を、慢性的に病態が持続する状態に近いものと捉えています。一方、大量の滲出液貯留と急激な炎症の増悪を伴うウェットタイプの症例では、より明らかな急性増悪がみられます。)

猫の体内でT細胞やNK細胞の数が著しく減少し、その機能も大きく低下すると、ウイルスに乗っ取られたマクロファージを排除する能力も低下します。このとき、大量に集積したマクロファージや顆粒球は、ケモカインや炎症性メディエーターを放出し続けます。それらが、持続的に活発なB細胞応答と相互に作用することで、強い全身性炎症を引き起こす可能性があります。重症例では、高サイトカイン血症、さらにはサイトカインストーム様反応が生じることもあります。※14 臨床的には、発熱が持続したり繰り返されたりし、通常の抗菌薬治療では抑えにくいという形で現れることがあります。これは、FIPの急性活動期にみられる典型的な症状の一つです。こうした免疫調節異常と、炎症を促すシグナルが持続的に増幅される過程には、重症COVID-19との重要な共通点があります。※15

NLR(好中球/リンパ球比)と免疫の変化

前に述べたように、FIPVに対する猫の免疫応答には、重症コロナウイルス感染症でみられる応答と、少なからず共通点があります。

炎症シグナルは好中球の動員を促し、その生存期間を延長させるため、好中球の絶対数が著しく増加することがあります。

同時に、T細胞のアポトーシスが増加し、NK細胞の数が減少するのに伴って、リンパ球の絶対数も大きく低下します。脾臓のBHNが、この過程に関与し、さらに反応を増幅させているのでしょうか。

そのため、両者の絶対数の比であるNLR(好中球/リンパ球比、Neutrophil-to-Lymphocyte Ratio)の著しい上昇とその経時的変化は、FIPと確定診断された症例の急性期の炎症活動性を評価する際に、私たちがより重視している血液学的指標です。

FIPの慢性化と再発

体内からのウイルス排除が大きく遅れると――例えば、実際の有効成分含量が不足していたり、品質が信頼できなかったりするGS-441524やEIDD-2801(モルヌピラビル)製剤を使用している場合、とりわけ投与量が不足している場合には――猫の免疫系は、十分な効果を上げられないまま、消耗の激しい攻防を長期間続けることになりかねません。

持続する抗原刺激と炎症による消耗によって、一部のリンパ球が機能的な疲弊に陥り、単球やマクロファージの応答異常も伴うことで、「免疫麻痺(Immunoparalysis)」に似た状態が生じる可能性があります。炎症は続いているのに、感染を効果的に排除する能力は抑えられているのです。※16

FIPVによるリンパ球への持続的な打撃が、その機能低下や疲弊を長引かせる可能性がある一方、好中球の数は、持続的な消費が補充能力を上回る一部の症例では、急性期の増加から、その後の減少へと転じる可能性があります。好中球そのものの寿命は比較的短く、血中の好中球数は、骨髄での産生と放出、組織への移行、そして細胞死の間の動的なバランスによって決まるためです。長引く炎症によって造血予備能が消耗し続け、骨髄の補充能力も損なわれると、好中球の供給が追いつかなくなる可能性があります。※17

FIPV感染では、自然免疫細胞からTNF-αやIL-8などの炎症を促す因子の放出が誘導されるとともに、インターフェロン応答の調節異常もみられます。※18

持続する炎症刺激は、好中球による「好中球細胞外トラップ(NETs)」の形成を促す可能性もあります。その形成過程の一つでは、核膜と顆粒膜が崩壊し、脱凝縮したクロマチンが顆粒タンパク質と混ざり合います。続いて、細胞膜の破裂とともにそれらが細胞外へ放出され、網状の構造を形成します。こうした細胞の溶解を伴う過程は、溶解性NETosisと呼ばれます。過剰に形成されたNETsは、さらなる組織障害を引き起こす重要なメディエーターとなり得ます。※19

そこに持続的な炎症、免疫抑制、造血による補充不足が重なると、一部の猫ではリンパ球と好中球の数がともに非常に低い状態となり、免疫系は、なすすべもないまま「治りきらず、くすぶり続ける」消耗戦に陥ります。

このとき、ウイルスの増殖がある程度抑えられ、全身の炎症が軽減していれば、グロブリン値が異常に上昇し続けるとは限りません。アルブミン値も、合成の回復やタンパク質の喪失の減少に伴って、再び上昇することがあります。その結果、アルブミン/グロブリン比(A/G比)はごく正常に見え、一見すると、すでに「治癒」したように思えます。ただ、一部の症例では、前に述べたようにウイルスの持続的な存在と不十分な免疫回復が重なり、なお慢性的に病態が持続する状態にある可能性があります。

FIPの確定診断例を対象とした研究でも、一部の猫ではA/G比が 0.8以上 であったことが報告されています。こうした検査値と病状が完全には一致しない症例で、より重視するのは、白血球総数が低い状態が続いているか、好中球とリンパ球がともに減少しているか、そして、それぞれの絶対数がどのように推移しているかです。両者の数が近ければ、NLRが 1前後 になることもあります。この組み合わせは、慢性の経過を追跡するうえで、研究上の手がかりとなり得ます。実際の判断では、薬剤に関連した骨髄抑制、ほかの感染症、骨髄疾患などの原因も調べる必要があります。※20

このような慢性の状態で、増殖能力のあるウイルスが残っていれば、機能が低下して疲弊した免疫系や不十分な薬の作用との間で、弱い攻防を続けながら、一種の均衡状態が成り立つ可能性があります。好中球とリンパ球が著しく減少した状態が続いていることは、二次感染にも十分な警戒が必要であることを意味します。

さらに注意が必要なのは、この慢性的な均衡が、必ずしも安定しているとは限らないことです。免疫による感染の制御がさらに弱まったり、薬物曝露が不十分になったりすると、残存ウイルスの増殖が再び強まる可能性があります。この脆い均衡が崩れると、経過が長引いている一部の症例では、短期間に病状が急激に悪化し、再び急性増悪に転じる可能性があると考えています。

もちろん、こうした弱い攻防が続く均衡状態から、よい方向へ転じる可能性もあります。

治療後の回復過程で、猫の免疫系が自ら調節を取り戻し、再構築されることで、感染を制御する力が再び高まる可能性があります。継続的な再検査で、白血球総数、好中球とリンパ球の絶対数、そしてNLRが徐々に正常に戻り、同時にグロブリン値の再上昇もみられないのであれば、血液像や炎症の状態が改善していることが示唆されます。

ヒトのCOVID-19罹患後症状である「Long COVID」の研究でも、免疫機能が回復する過程が観察されています。時間の経過とともに、一部の患者では、それまで異常に高まっていた免疫活性化が徐々に落ち着き、T細胞やB細胞の集団が再構築され、生活の質にも改善がみられました。これは、持続する免疫調節異常にも、回復へ向かう余地があることを示しています。※21

G-CSF(顆粒球コロニー刺激因子)などの白血球を増やす薬は、好中球数を増加させることができます。ただし、その数値の改善と、免疫機能の回復やウイルスの制御とは、分けて評価する必要があります。FIV感染猫を用いた実験では、G-CSFによって好中球数が増加したものの、リンパ球数、CD4/CD8比、ウイルス量には、それに伴う改善はみられませんでした。※22 そのため、こちらが注目するのは、投与終了後もその数を維持できるか、そして猫の全身状態が本当に改善しているかも見ていきます。

前に述べたような、経過が長引き、免疫の回復が不十分な猫については、再評価の結果に応じて、主に次の2つの対応方針を考えます。

方針A:経過観察と支持療法を中心にする。

猫が適切な抗ウイルス治療を終え、病状が安定し、活動性のFIPを示す所見も認められない場合には、当面は抗ウイルス薬を追加せずに経過観察を続け、免疫機能の回復と組織の修復のための時間を確保することができます。

明らかな好中球減少がなお続いている場合には、原因を調べ、投薬の適応を評価したうえで、支持療法として白血球を増やす薬を適切に使用することができます。ウイルスを排除できなくても、免疫機能を高めること自体には意義があります。

方針B:感染の活動性と治療反応に応じて、抗ウイルス治療を引き続き調整する。

再評価で活動性の感染が残っていることが示唆され、抗ウイルス治療の継続が必要な場合には、不十分な用量のGS-441524やモルヌピラビル(Molnupiravir)による「低強度の維持投与」に、漫然と頼るべきではありません。定期的な血液検査に加え、猫の症状、体重、病変の変化、必要に応じた病原体検査の結果を踏まえながら、投与量、治療期間、投薬方針を経過に合わせて調整していく必要があります。

REFERENCES / EVIDENCE参考文献本文で参照した研究・文献(23件)

※1|「A/G比の診断特異性の限界と、低いA/G比だけに基づく判断による誤診の可能性」に対応

Jeffery U, Deitz K, Hostetter S.(2012)

Positive predictive value of albumin: globulin ratio for feline infectious peritonitis in a mid-western referral hospital population.

日本語訳:『米国中西部の紹介診療施設を受診した猫の集団における、猫伝染性腹膜炎に対するアルブミン/グロブリン比の陽性予測値』

公開日:2012年7月18日(オンライン公開)。巻号の刊行は2012年12月。

掲載誌:Journal of Feline Medicine and Surgery, 14(12): 903–905.

DOI:10.1177/1098612X12454862

※2|「NLRとFIPの炎症活動性、ドライタイプ・ウェットタイプの違い、および治療に伴う変化との関係」に対応

Tršar L, Štrljič M, Nemec Svete A, et al.(2025)

Evaluation of selected inflammatory markers in cats with feline infectious peritonitis before and after therapy.

日本語訳:『猫伝染性腹膜炎の治療前後における各種炎症マーカーの評価』

公開日:2025年5月9日。

掲載誌:BMC Veterinary Research, 21: 330.

DOI:10.1186/s12917-025-04731-x

※3|「臨床的寛解後のウイルスの持続的な存在と、急性から慢性、慢性から急性への移行を考える機序上の手がかり」に対応

Balakumar A, Wanakumjorn P, Kimura K, et al.(2026)

Beyond macrophages: FIPV tropism includes T and B lymphocytes.

日本語訳:『マクロファージだけではない:FIPVの細胞指向性にはTリンパ球とBリンパ球も含まれる』

公開日:2025年12月31日(オンライン公開)。巻号の刊行は2026年2月。

掲載誌:Veterinary Microbiology, 313: 110864.

DOI:10.1016/j.vetmic.2025.110864

※4|「抗ウイルス治療後にも持続する免疫の変化と、Long COVID研究との関連」に対応

Wanakumjorn P, Kimura K, Castillo D, et al.(2025)

Mesenchymal stem/stromal cell therapy improves immune recovery in a feline model of severe coronavirus infection.

日本語訳:『間葉系幹細胞/間質細胞療法は、重症コロナウイルス感染の猫モデルにおける免疫回復を改善する』

公開日:2025年7月15日(掲載誌公式サイトの記載に基づく)。

掲載誌:Stem Cells Translational Medicine, 14(7): szaf025.

DOI:10.1093/stcltm/szaf025

Yu M, Hwang S, Jang H, et al.(2025)

Prolonged immune activation in post-acute sequelae of SARS-CoV-2: neutrophil dynamics and therapeutic insights.

日本語訳:『SARS-CoV-2感染後の急性期後遺症における持続的な免疫活性化:好中球の動態と治療への示唆』

公開日:2025年9月24日。

掲載誌:Experimental & Molecular Medicine, 57: 2067–2082.

DOI:10.1038/s12276-025-01539-5

※5|「猫汎白血球減少症や猫エイズでも、アルブミンやグロブリンに異常が生じ得ること」に対応

Kruse BD, Unterer S, Horlacher K, Sauter-Louis C, Hartmann K.(2010)

Prognostic Factors in Cats with Feline Panleukopenia.

日本語訳:『猫汎白血球減少症における予後因子』

公開日:2010年10月12日(オンライン公開)。巻号の刊行は2010年11~12月。

掲載誌:Journal of Veterinary Internal Medicine, 24(6): 1271–1276.

DOI:10.1111/j.1939-1676.2010.0604.x

Miró G, Doménech A, Escolar E, et al.(2007)

Plasma Electrophoretogram in Feline Immunodeficiency Virus (FIV) and/or Feline Leukaemia Virus (FeLV) Infections.

日本語訳:『猫免疫不全ウイルス(FIV)および/または猫白血病ウイルス(FeLV)感染における血漿タンパク電気泳動像』

公開日:2007年4月18日(オンライン公開)。巻号の刊行は2007年5月。

掲載誌:Journal of Veterinary Medicine Series A, 54(4): 203–209.

DOI:10.1111/j.1439-0442.2007.00902.x

※6|「感染したマクロファージがB細胞の分化と抗体産生を促すこと」に対応。後段のグロブリン上昇に関する説明にも使用

Takano T, Azuma N, Hashida Y, Satoh R, Hohdatsu T.(2009)

B-cell activation in cats with feline infectious peritonitis (FIP) by FIP-virus-induced B-cell differentiation/survival factors.

日本語訳:『FIPウイルスが誘導するB細胞分化・生存因子による、猫伝染性腹膜炎罹患猫のB細胞活性化』

公開日:2008年11月30日(オンライン公開)。巻号の刊行は2009年1月。

掲載誌:Archives of Virology, 154(1): 27–35.

DOI:10.1007/s00705-008-0265-9

※7|「脾臓の好中球がB細胞応答を補助する機序上の手がかり」に対応

Puga I, Cols M, Barra CM, et al.(2012)

B cell–helper neutrophils stimulate the diversification and production of immunoglobulin in the marginal zone of the spleen.

日本語訳:『B細胞ヘルパー好中球は、脾臓辺縁帯における免疫グロブリンの多様化と産生を促進する』

公開日:2011年12月25日(オンライン公開)。巻号の刊行は2012年2月。

掲載誌:Nature Immunology, 13(2): 170–180.

DOI:10.1038/ni.2194

Nagelkerke SQ, aan de Kerk DJ, Jansen MH, van den Berg TK, Kuijpers TW.(2014)

Failure to Detect Functional Neutrophil B Helper Cells in the Human Spleen.

日本語訳:『ヒトの脾臓において、機能的なB細胞ヘルパー好中球を検出できなかった』

公開日:2014年2月11日。

掲載誌:PLOS ONE, 9(2): e88377.

DOI:10.1371/journal.pone.0088377

※8|「CD15、CD16、CD11bに関する顆粒球の表現型の変化」と、後段の「CRTH2、PD-L1、T細胞の割合の変化」に対応

Vitte J, Diallo AB, Boumaza A, et al.(2020)

A Granulocytic Signature Identifies COVID-19 and Its Severity.

日本語訳:『顆粒球の特徴を用いたCOVID-19とその重症度の識別』

公開日:2020年9月17日(オンライン公開)。巻号の刊行は2020年12月。

掲載誌:The Journal of Infectious Diseases, 222(12): 1985–1996.

DOI:10.1093/infdis/jiaa591

※9|「FIPVがPD-L1発現を誘導し、T細胞の活性化を抑えること」に対応

Zabiegala A, Kim Y, Chang KO.(2026)

Differential induction of PD-L1 expression in cells infected with feline infectious peritonitis virus and feline enteric coronavirus.

日本語訳:『猫伝染性腹膜炎ウイルスと猫腸コロナウイルスの感染細胞における、PD-L1発現誘導の違い』

公開日:2025年10月30日(オンライン公開)。巻号の刊行は2026年2月。

掲載誌:Virology, 614: 110734.

DOI:10.1016/j.virol.2025.110734

※10|「感染したマクロファージが好中球の生存を延長し、持続的な炎症や肉芽腫性病変に関与すること」に対応

Takano T, Azuma N, Satoh M, et al.(2009)

Neutrophil survival factors (TNF-alpha, GM-CSF, and G-CSF) produced by macrophages in cats infected with feline infectious peritonitis virus contribute to the pathogenesis of granulomatous lesions.

日本語訳:『FIPウイルス感染猫のマクロファージが産生する好中球生存因子は、肉芽腫性病変の形成に関与する』

公開日:2009年4月3日(オンライン公開)。巻号の刊行は2009年5月。

掲載誌:Archives of Virology, 154(5): 775–781.

DOI:10.1007/s00705-009-0371-3

※11|「T細胞のアポトーシスと、NK細胞の数および機能の低下」に対応

Takano T, Hohdatsu T, Hashida Y, et al.(2007)

A “possible” involvement of TNF-alpha in apoptosis induction in peripheral blood lymphocytes of cats with feline infectious peritonitis.

日本語訳:『猫伝染性腹膜炎罹患猫の末梢血リンパ球におけるアポトーシス誘導へのTNF-αの関与の可能性』

公開日:2006年9月16日(オンライン公開)。巻号の刊行は2007年1月31日。

掲載誌:Veterinary Microbiology, 119(2–4): 121–131.

DOI:10.1016/j.vetmic.2006.08.033

Vermeulen BL, Devriendt B, Olyslaegers DA, et al.(2013)

Suppression of NK cells and regulatory T lymphocytes in cats naturally infected with feline infectious peritonitis virus.

日本語訳:『猫伝染性腹膜炎ウイルスに自然感染した猫における、NK細胞と制御性Tリンパ球の抑制』

公開日:2013年2月8日(オンライン公開)。巻号の刊行は2013年5月31日。

掲載誌:Veterinary Microbiology, 164(1–2): 46–59.

DOI:10.1016/j.vetmic.2013.01.042

※12|「感染したマクロファージがVEGFを産生し、血管透過性の亢進と体腔液貯留に関与すること」に対応

Takano T, Ohyama T, Kokumoto A, Satoh R, Hohdatsu T.(2011)

Vascular endothelial growth factor (VEGF), produced by feline infectious peritonitis (FIP) virus-infected monocytes and macrophages, induces vascular permeability and effusion in cats with FIP.

日本語訳:『FIPウイルスに感染した単球とマクロファージが産生する血管内皮増殖因子(VEGF)は、FIP罹患猫の血管透過性亢進と体腔液貯留を誘導する』

公開日:2011年4月5日(オンライン公開)。巻号の刊行は2011年6月。

掲載誌:Virus Research, 158(1–2): 161–168.

DOI:10.1016/j.virusres.2011.03.027

※13|「アルブミンの喪失、炎症に伴うアルブミン低下、および低A/G比」に対応。後段の発熱に関する説明にも使用

Riemer F, Kuehner KA, Ritz S, Sauter-Louis C, Hartmann K.(2016)

Clinical and laboratory features of cats with feline infectious peritonitis – a retrospective study of 231 confirmed cases (2000–2010).

日本語訳:『猫伝染性腹膜炎の臨床・検査所見:確定診断された231症例の後ろ向き研究(2000~2010年)』

公開日:2015年7月16日(オンライン公開)。巻号の刊行は2016年4月。

掲載誌:Journal of Feline Medicine and Surgery, 18(4): 348–356.

DOI:10.1177/1098612X15586209

関連する研究内容:関連する検査結果が得られた罹患猫のうち、64.5%に低アルブミン血症があり、約85%でA/G比が0.8未満でした。著者らは、アルブミンの低下を、血管炎によるタンパク質の血管外漏出と、アルブミンが陰性急性期タンパク質であることに伴う変化に関連づけています。また、発熱も記録されており、体腔液貯留のある猫では発熱がみられやすいことが示されました。

※14|「炎症細胞によるサイトカイン放出と、それに伴う抗体応答および全身性炎症の促進」に対応

Goitsuka R, Ohashi T, Ono K, et al.(1990)

IL-6 activity in feline infectious peritonitis.

日本語訳:『猫伝染性腹膜炎におけるIL-6活性』

公開日:1990年4月1日。

掲載誌:The Journal of Immunology, 144(7): 2599–2603.

DOI:10.4049/jimmunol.144.7.2599

Jiao Z, Wang P, Hu X, et al.(2024)

Feline infectious peritonitis virus ORF7a is a virulence factor involved in inflammatory pathology in cats.

日本語訳:『猫伝染性腹膜炎ウイルスのORF7aは、猫の炎症性病態に関与する病原性因子である』

公開日:2024年1月3日(オンライン公開)。巻号の刊行は2024年2月。

掲載誌:Antiviral Research, 222: 105794.

DOI:10.1016/j.antiviral.2024.105794

※15|「炎症を促すマクロファージの集積と免疫調節異常における、重症COVID-19との共通点」に対応

Liao M, Liu Y, Yuan J, et al.(2020)

Single-cell landscape of bronchoalveolar immune cells in patients with COVID-19.

日本語訳:『COVID-19患者の気管支肺胞免疫細胞の単一細胞アトラス』

公開日:2020年5月12日(オンライン公開)。巻号の刊行は2020年6月。

掲載誌:Nature Medicine, 26: 842–844.

DOI:10.1038/s41591-020-0901-9

※16|「持続感染における免疫調節異常と、後期に免疫疲弊が生じる機序上の手がかり」に対応

Malbon AJ, Michalopoulou E, Meli ML, et al.(2020)

英語の主題:Colony Stimulating Factors in Early Feline Infectious Peritonitis Virus Infection of Monocytes and in End Stage Feline Infectious Peritonitis.

日本語訳:『単球のFIPウイルス感染初期および終末期FIPにおけるコロニー刺激因子:生体内実験と細胞実験を組み合わせた研究』

公開日:2020年10月27日。

掲載誌:Pathogens, 9(11): 893.

DOI:10.3390/pathogens9110893

※17|「長期感染が造血予備能を損ない、血球の補充を制限する可能性」に対応

Matatall KA, Jeong M, Chen S, et al.(2016)

Chronic Infection Depletes Hematopoietic Stem Cells through Stress-Induced Terminal Differentiation.

日本語訳:『慢性感染は、ストレス誘導性の終末分化を介して造血幹細胞を枯渇させる』

公開日:2016年12月6日。

掲載誌:Cell Reports, 17(10): 2584–2595.

DOI:10.1016/j.celrep.2016.11.031

※18|「FIPにおける炎症促進シグナルと、インターフェロン応答の調節異常」に対応

Lee JY, Cho HR, Oh HG, Hwang JH.(2025)

Comparative transcriptome analysis of PBMCs in cats diagnosed with and recovered from FIPV.

日本語訳:『FIP罹患猫と回復猫の末梢血単核細胞における比較トランスクリプトーム解析』

公開日:2025年6月13日。

掲載誌:Laboratory Animal Research, 41: 18.

DOI:10.1186/s42826-025-00247-5

Chen S, Tian J, Li Z, et al.(2020)

Feline Infectious Peritonitis Virus Nsp5 Inhibits Type I Interferon Production by Cleaving NEMO at Multiple Sites.

日本語訳:『猫伝染性腹膜炎ウイルスのNsp5は、NEMOを複数の部位で切断することによりⅠ型インターフェロンの産生を抑制する』

公開日:2019年12月30日(オンライン公開)。巻号の刊行は2020年1月。

掲載誌:Viruses, 12(1): 43.

DOI:10.3390/v12010043

※19|「溶解性NETosisの形成過程と、NETsによる組織障害の機序」に対応

Fuchs TA, Abed U, Goosmann C, et al.(2007)

Novel cell death program leads to neutrophil extracellular traps.

日本語訳:『新たな細胞死プログラムによる好中球細胞外トラップの形成』

公開日:2007年1月。

掲載誌:Journal of Cell Biology, 176(2): 231–241.

DOI:10.1083/jcb.200606027

関連する研究内容:この基礎研究では、クロマチンの変化、核膜と顆粒膜の崩壊、細胞膜の破裂後にNETsが放出される過程が直接観察されました。本文で述べた、細胞の溶解を伴う形成過程に対応します。

Veras FP, Pontelli MC, Silva CM, et al.(2020)

SARS-CoV-2–triggered neutrophil extracellular traps mediate COVID-19 pathology.

日本語訳:『SARS-CoV-2が誘導する好中球細胞外トラップは、COVID-19の病理学的障害を媒介する』

公開日:2020年9月14日(オンライン公開)。巻号の刊行は2020年12月7日。

掲載誌:Journal of Experimental Medicine, 217(12): e20201129.

DOI:10.1084/jem.20201129

※20|「白血球減少では、薬剤、感染、骨髄の問題を併せて調べる必要があること」に対応

Brown MR, Rogers KS.(2001)

Neutropenia in dogs and cats: a retrospective study of 261 cases.

日本語訳:『犬と猫の好中球減少症:261症例の後ろ向き研究』

公開日:2001年3月1日。巻号の刊行は2001年3~4月。

掲載誌:Journal of the American Animal Hospital Association, 37(2): 131–139.

DOI:10.5326/15473317-37-2-131

※21|「Long COVID患者の免疫調節異常は時間とともに改善し、一部の免疫細胞集団が再構築されること」に対応

Phetsouphanh C, Jacka B, Ballouz S, et al.(2024)

Improvement of immune dysregulation in individuals with long COVID at 24-months following SARS-CoV-2 infection.

日本語訳:『SARS-CoV-2感染後24か月におけるLong COVID患者の免疫調節異常の改善』

公開日:2024年4月17日。

掲載誌:Nature Communications, 15: 3315.

DOI:10.1038/s41467-024-47720-8

※22|「G-CSFは好中球数を増加させるものの、その増加がウイルスの制御や免疫機能全体の回復を意味するわけではないこと」に対応

Phillips K, Arai M, Tanabe T, et al.(2005)

FIV-infected cats respond to short-term rHuG-CSF treatment which results in anti-G-CSF neutralizing antibody production that inactivates drug activity.

日本語訳:『FIV感染猫は短期間の遺伝子組換えヒトG-CSF治療に反応するが、その後に産生される抗G-CSF中和抗体によって薬剤活性が失われる』

公開日:2005年8月10日(オンライン公開)。巻号の刊行は2005年12月15日。

掲載誌:Veterinary Immunology and Immunopathology, 108(3–4): 357–371.

DOI:10.1016/j.vetimm.2005.06.010

※23|「ヒトG-CSFを猫に長期間使用した場合の中和抗体のリスクと、製剤間の違い」に対応

Coleman JK, Sakagawa Y, Tanabe T, et al.(2014)

Pegylated feline granulocyte colony-stimulating factor increases neutrophil levels in cats.

日本語訳:『ペグ化猫顆粒球コロニー刺激因子は猫の好中球数を増加させる』

公開日:2014年2月5日(オンライン公開)。巻号の刊行は2014年4月。

掲載誌:The Veterinary Journal, 200(1): 44–50.

DOI:10.1016/j.tvjl.2014.01.019

ARTICLE INFORMATION

執筆・監修/公開情報

本記事の執筆・監修者と公開履歴

CREDITS

01 / WRITER

猫博士研究チーム

02 / REVIEW

Li Yun 博士

獣医師

PUBLICATION

公開日

2025年2月26日

最終更新

2025年2月28日

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